小説

『新生アリス計画』ちまき(『不思議の国のアリス』)

「せっかく夢の中って美味しい舞台設定があるんだから、主人公がただ話に流されるだけじゃ勿体ないわ!小さくなったり大きくなったり、クリケットしたり、何の話!?」
 どこから持ってきたのか分からないホワイトボードに、謎のグラフや勝手な計画を書き込んでいくアリス。完全に企画会議状態だ。
 もはやドコからつっこめばいいのか分からない白ウサギは、ただ座ってアリスの話聞くしかなかった。
この空間、満足しているのはやらかし放題のアリスだけだろう。本文の作者も背中に変な汗が出てきた…。今更ですがこの場を借りて、原作者様並びに関係各所様に深くお詫び申し上げます。
「そんなわけで、さっそく変更行くわよ!」
 どんなわけかさっぱり分からないが、アリスは止まらない。
 全てを置き去りにして、アリスのアリスによるアリスの為の、『新生・不思議の国のアリス』開演…

◆ ◆ ◆

 舞台は荒廃した夢の世界。
 本来、人間達の夢見る力に支えられていた美しいはずの世界は、今、滅びの時をむかえようとしていた。
 世界を救う為に召喚されたのは、現代を生きるアリスと言う名の少女。
 突然投げ出された世界に初めは戸惑うだけのアリスだったが、己の使命を知った時、彼女は彼女の安息の時間を捨てさった。
「世界は、夢は、人は、私が救う!!」
 剣を握るその瞳に、一切の迷いは無い。
 時間を操る魔法を持つウサギを第一の下僕にし、アリスは、夢世界を腐敗させる負の怪物達を倒していく。
 そして新たな支配者として、世界に君臨する事になったのであった…。
 めでたし、めでたし。

◆ ◆ ◆

「ちょっと待てぇえ!!!」

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