隠蔽。
この点に関しては、人間の歩みの中で、決して、途切れたことなど、なかった。
と、男は思った。
なんで、こんなことに、なったんだろう。
いまさらも、いいとこだろうが!
とにかく、食いたい! 食いたい!
まったく、それ以外。
滑稽だ。
フライドチキンと、冷たいビールを、たらふく腹に流し込んだのは、ついこないだ、だ。
な、な、そうだったろ。
それが狂ったのは、どこからなのだろう?
男は、思い出していた。
「豆」。
この題名にこだわる人物からだ、という。
短編映画の、原作の依頼。
「ジャックと豆の木」を巡る、ドキュメンタリー。
その番組の、シナリオ構成の依頼。
二つ、抱えることとなった。
仕事が重なるなんて、奇跡に近い。
だけど「豆」。
なんとなく気が乗らなかった。
いや、身震いのような、寒気のような、そんな感じのものを、吹きかけられるような。
そんな、気配を感じた。
なんで「豆」なのか?
どちらの依頼も、唐突だった。
強い思い入れ。