小説

『ウェンディとネバーランド』あやもとなつか(『ハメルーンの笛吹き』『ピーターパン』)

その後ご飯を食べて、お風呂に入って、おじさんおばさんにおやすみなさいのキスをして、ベッドに入った。
「ねぇ、お姉ちゃんはどう思う?どうしてネズミ達はその男の人について行ったのかな?ネズミ達はどうなったかな?」
ベッドに入ったジョンに毛布をかけてあげているとジョンがひそひそと話しかけてきた。私はその質問について充分に考えて、自分の考えをまとめるようにゆっくり言った。
「魔法…なのかもしれないね。あの男の人は魔法使いなのかも!それで、ネズミ達を自分のお家に返してやったんじゃないかな。」
口に出してみると、(絶対にそうだ!)と思えた。ジョンは私の言葉を聞いて嬉しそうに言った。「僕もそう思ってたところ。ねぇ、僕も明日広場に行ったらその人に会えるかな?」
「そうだね、きっと会えるよ。明日一緒に広場に行こうか。それじゃあ、そろそろおやすみ。」
「うん。約束だよ!あ、マイケルも連れて行ってね、あいつ、仲間外れにすると怒るからさ。お姉ちゃん、おやすみなさい。」
ジョンが目を閉じるのを見て、私も自分のベッドに入った。そして、奇妙な格好の男のことを考えながら眠りについた。

翌日、約束通り私とジョンとマイケルで「街の広場に行ってくるね」とおばさんに伝えたら、横で聞いてたナナが
「私もついて行くわ。」
と言って、ナナも一緒に行くことになった。
おばさんの家から広場まではそんなに遠くはないけれど、途中寄り道をしていたら予想以上に時間がかかって、広場に到着したのはお昼を少し過ぎた頃だった。
広場が近づいてくると私は広場の方が騒がしいことに気づいた。
「何か騒がしいね。その男の人がまた大道芸でもやってるのかな?」
ジョンは期待でキラキラした目で聞いてきた。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11