小説

『パーティ』大前粟生(『灰かぶり姫』)

 わたしたちはそそくさと会場から飛び出した。美しい足を考える部から黄金の靴を盗むのを忘れなかった。これはその人とわたしたちにこそ似合う靴。わたしたちは笑いながら走り出した。帰ったらその人のことをあの子に聞かせてやろう。埃とフケと灰と羽にうずくまるあの子に。

1 2 3 4 5 6 7