小説

『鬼の誇りの角隠し』メガロマニア(『桃太郎』)

「でも、僕が旅の途中で人間を殺したらどうする?」
「そうしたらお前を退治する。・・・・でもお前はそんなことはしないだろう?」
「馬鹿にするない」
鬼一は笑った。
「僕は鬼の子だぞ」
そうして頭に被った笠を外し、天に向かって放り投げた。
鬼一の角があらわになり、その角は以前よりも成長しているように見えた。
鬼一が投げた笠は風に乗り、高く高く舞い上がり、
いつまでも落ちることはなかった。

 

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