「スーパーのレジのバイトしたら?パッキング能力が生かせるよ」
寝太郎はまた声を出さずに笑った。腕から振動が伝わって、私は寝太郎を笑わせるのは結構心地よいことを発見した。
「それは魅力的な提案ですね」
私のリュックはすかすかでバランスが悪いけど、寝太郎が入っているとプチプチビニールを詰めたように安定する。それもいい。まあ、しばらくは。明日の朝はナイススティックがあるからね、と言おうとしたら、寝太郎はもうひっそりと眠っていた。聞くのは初めてなのに、ずっと耳元にあったような寝息を聞きながら、私も眠った。