6月期優秀作品発表
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Earth Act For Life AWARD6月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品11作品です。
『言う』
室市雅則
お母さんが『再婚』すると知らされる。相手は僕も好きなタッくん。僕はとっても嬉しいのだけど、タッくんを『お父さん』となかなか言い出せなくて…
『昇る煙』
洗い熊Q
俺は親父が苦手だった。玄関先で偉そうに煙草を吸うあの姿。他人に見られるのが恥ずかしかった。
『おねえちゃんごめんね』
広瀬厚氏
小学五年生の七海は中学二年生の姉が誕生日に友達から貰った、可愛い猫の飾りがついたヘアピンをうらやましく見ていた。ある時七海は洗面台の横に置いてあったそのヘアピンを自分の髪にとめてみた。髪から外す時に猫の飾りがヘアピンから取れてしまった。困った彼女はそれを勉強机の引き出しに隠した。
『ガーディアン』
十六夜博士
会社員の中井には、適齢期の娘がいた。自分の娘が結婚することになり、娘がどこぞの男に奪われると嘆く同僚の西村。西村と同じく、中井も娘を手放したくないと思っていた。そんな中井は、娘に彼氏ができないようにある秘策を仕込んでいた……
『さびしいサラダ』
もりまりこ
潮の香に包まれた古い<天神屋デパート>の総菜屋<ベジルド>でバイトする栞。家族の匂いのする雑踏に似たデパ地下はいまの栞には少し、いきぐるしい。時折、庭園のような屋上を訪れて吹き抜ける風のなかに、もう逢えなくなった透の匂いを感じたある日、一枚の紙切れの中に彼ののこした言葉をみつけて。
『タンスのにおい』
藤雅みづき
祖母が亡くなったとの知らせを受けた私は両親と一緒に葬式に参加することになる。無事に葬儀は終わったものの、実家を取り壊すため、仏壇を私の家で引き取るはめになってしまい……。
『ピレパラ』
柿沼雅美
目黒川にかかる道を歩くと、生温い風を感じて急に不安になる。大学を卒業して10年以上たっても美樹、恵美、紗英、私で集まって楽しいのに、なんで不安は気づいたときにはもうその中にいるんだろう。美樹に誘われて行った初めての婚活パーティーで、天野彰一に「家族になりませんか」と言われた。
『黄泉桜』
太田ユミ子
桜がほころび始めた三月下旬、三ヶ月前に亡くなった母が生前したかったことを一つだけ叶えるために、期間限定であの世の入口から帰ってきた。それは自転車に乗ること。美幸は自宅近くにある夙川公園の「さくら道」で母と練習を始める。実は母が帰ってきた本当の理由は、美幸に謝るためだった。
『家族チェンジ』
九(いちじく)
朝起きると、コウスケの両親が別人になっていた。初めは戸惑っていたコウスケだったが、サンタに優しい両親が欲しいと願っていたのを思い出し、サンタのプレゼントだと信じる。テストで悪い点をとっても怒られず、嫌いな食べ物を残しても怒られない優しい家族に満足するコウスケだったが……。