小説

『吾が輩は神ではない』洗い熊Q(『吾輩は猫である』)

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 吾が輩は猫である。
 名前は一応ある。
 そして吾が輩は超能力がある。
 だが、神ではない。
 能ある鷹は爪を隠すと言うが。
 鷹であるさえ隠さず負えない小生は、も少し足を伸ばし寝たいもの。
 それが吾が輩である。

 
「は~い、皆さまおはようございます。今日の“隣の家のスーパーペット”は、都内に住む小杉さん宅のネコちゃん、トウキくんで~す。毛並みも綺麗でふっくらちゃんですが、こう見えて一九歳のお爺ちゃんなんですよ~」
 爺さん呼ばわりするのなら、責めて君付けはよせ。経験だけで云うならば吾が輩の方が先進。二十四の娘などまだまだ子供だ。
「こちらが飼い主の幸恵さんです。今日はよろしくお願いしま~す」
「よ、よろしくお願いします……」
 幸恵よ。化粧濃いぞ。三十路半ば目前で気持ちは理解するが、テレビ取材だからと顔を沿えると匂いがきつい。
「奥様、若いですね~。お洋服も流行の物がよく似合ってらっしゃるし~」
「い、いえいえ……そんな……」
 歳。服。誉め所を心得とる。後は髪を誉めれば完璧だな。
「さて、このトウキくん。ものすんごい能力の持ち主なんですね。実は……サッカーの試合結果を当ててしまうネコちゃんなんですっ! ねっ? 奥様ね?」
「は、はい」
「明後日、ちょうどサッカー日本代表が予選試合を控えています! 予選第一試合の結果を、早速、このトウキくんに予想して貰いましょう~! ……奥様、よろくしお願いします」
「あ、はい、はい……」
 お願いするのはこっちにだろ?
 そうこうする内に幸恵が前に赤い器と青い器を並べた。
「さあ! トウキくんが赤を選べば日本の勝ち、青だと負けです。さあさあ、トウキくんどっち?!」

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