小説

『リコレクション・イン・ゴールデンアフタヌーン』こがめみく(『不思議の国のアリス』)

「この曲どう思う」
 俺が聞くと、涼介は少し言いよどむようにしたあと、窓の外に視線を飛ばし、落ち着いた目になって戻ってきた。
「……いいと思うけど。いきなりどうしたんだよ」
「あのアルバム作ろうって言ったの俺なんだ」
 涼介が目を少し見開いた。
「なんで……」
「ウサギだからかもしれない」
「……は?」
 時計の針は午後一時を指している。外は金色の昼下がりだった。

 

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