新しい肩書をもらった。「赤瀬と私は共犯者」。たまらない、怖いくらいに嬉しくて、やっぱりさっきの肩書はいらないなんて思考は、強がりだったんだな、なんて思う。 技術室から外に出る。湿ったぬるい風、真上のソメイヨシノから、蝉の祝福の声。 昔何度も見つめた赤瀬の後ろ姿が、いや、記憶と現在が、私の視界で、青白い外套の灯りに揺れながら、重なっていた。 6/6 前のページ 10月期優秀作品一覧 HOME