メニュー

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ
               国際短編映画祭につながる「ショートフィルムの原案」公募・創作プロジェクト 奇想天外短編映画 BOOK SHORTS

\ フォローしよう! /

  • トップ
  • 受賞一覧
  • 映画化一覧
  • 作家インタビュー
  • 公募中プロジェクト
  • 創作プロジェクト
  • お問い合わせ

『雨の日に』真銅ひろし

  • 応募要項
  • 応募規定

 なんて言ったらどうなるだろうか?
「は?」
 と怪訝な顔をされて終わりだろう。
「お待ち合わせですか?」
 こう言ったらどうなる?
「は?」
 これも怪訝な顔をされて終わりだろう。何時間もここにいるのだ、もし本当に待ち合わせなら嫌味の以外の何ものでもない。

 23時30分。
 閉店まであと30分。
「ありがとうございました。」
 カップルは清算を済ませると寄り添うように帰って行った。この雨だ、きっとホテルに泊まっていくのだろう。
「・・・。」
 しかし飽きることなくずっと話していた。3時間位だろうか、よくもそんなに話題があるものだと感心する。
 少し分けてくれればいいのに。
 そしたらもう少し妻との関係も軟化するかもしれない。
「はぁ。」
 虚しくため息をつく。そんな事できるわけがない。
 そして店内は男性と自分しかいなくなってしまった。
 静かな店内。
 激しい雨が窓を打ち付ける。

 バタバタバタバタバタバタ。

 気がつけば二人とも外を見ている。
 二人の心はこの雨のように激しく打ち付けられているのだろうか。
 と、ちょっと詩的な事を思ってみたが現実はなんて事はない。離婚を突きつけられた男と、何の用事か知らないが何時間もコーヒーを飲んでいる男。と言うだけの話。
 24時閉店なので、ちょこちょこ片付けを始める。

 腕時計に目をやる。
 23時40分。
 あー、これはもう絶対に来ないだろうな。
 お店もなんか片付けを始めちゃってるし。自分はコーヒーしか飲んでいないし。
 約5時間だぞ、5時間。
 さっきまでイチャイチャしていたカップルも帰っちゃうし、お店には店長らしき人しかいない。
 二人きり。
 かなり気まずい・・・。
 早く帰れよ。
 いつまでコーヒー飲んでんだ。
 誰待ってんだ。

4/8
前のページ / 次のページ

8期優秀作品一覧
HOME

■主催 ショートショート実行委員会
■協賛 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ株式会社
■企画・運営 株式会社パシフィックボイス
■問合先 メールアドレス info@bookshorts.jp
※お電話でのお問い合わせは受け付けておりません。


1 2 3 4 5 6 7 8
Copyright © Pacific Voice Inc. All Rights Reserved.
  • お問い合わせ
  • プライバシーポリシー