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『雨の日に』真銅ひろし

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 最悪だ。
 外は土砂降りの雨。
 だけではなく、
 離婚の危機にも陥っている。
 昨日妻から離婚を切り出されてしまった。
「すいませーん。」
 奥のテーブルから呼ばれる。
 スーツを着た短髪の男性。年齢は20代後半位だろうか。
「はーい。」
 スタッフの佐伯さんが笑顔で応える。
 どうせまたコーヒーだろう。
 さっきからあの客はコーヒーばかりだ。
「・・・。」
 家に帰りたくないなぁ。
 そんな事を思いながらお店の時計に目をやる。
 21時。
 いつもこの時間はカウンターにもテーブル席にもお客がいるけれど、今日は比較的空いている。土砂降りの雨の影響だろうか。
「よく降りますね~。」
 注文を取って来た佐伯さんも外を眺めながら話しかけてくる。
「本当に。今日はみんな部屋でおとなしくしてるのかね。」
「どうですかね~、明後日くらいまで降るって言ってましたけど。」
「何それ、最悪。」
 二人で外を眺める。そしておもむろに佐伯さんはコーヒーを入れ始める。
 ここはホテル内にあるカフェ。といっても夜はお酒も提供する。もちろん宿泊客でない人もこのカフェを利用する。
「・・・。」
 しかし今日は暇だ。昨日の今日はせめて仕事で忙しく働いていたい気分なのに。
「店長・・・店長。」
「え、何?ごめん。」
「どうしたんですか?」
「ちょっと考え事。何?」
「今日、もしこのままお客が少なかったら22時であがらせて欲しいんですけど。」
 佐伯さんが苦笑いをしながら申し訳なさそうに言ってくる。
「何?デート?」
「そんなような感じです。ご飯一緒に食べるだけですけど。でも店長、それセクハラですよ。」
 そう言ってイタズラっぽく笑う。
「ごめん、ごめん。今日は最後まで暇だろうから上がっていいよ。」
「ありがとうございます。」

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