『ばか』
山本静夫
(『イワンのばか』トルストイ『裸の王様』)
ある王国に住む三兄弟の末弟スヴェッコは「ばか」だった。軍人の長男と商人の次男は戦争や商売で成功し裕福な暮らしをしているが、彼は今日も親の手伝いで畑仕事。そんな中、美しい女王陛下が戦争で手に入れた「ばかには見えないドレス」を着て凱旋パレードをすると聞き……
『最後の齋藤』
山本
(『かぐや姫』)
政府が推奨した外国人の帰化政策などにより、日本に残る未婚の「齋藤」は樹里江ただ一人になった。生粋の日本人同士を結婚させ「齋藤」を守りたい政府、帰化した人の子どもでもいいから「齋藤」を守りたい樹里江の父、「齋藤を守る」ことに疑問を感じる樹里江の恋人。様々な想いが交錯する。
『女神見習いは愛を知る』
清水恋生
(『金の斧銀の斧』)
太陽の光を受けて、眩しく輝く湖。その周りにいくつか立っている木の一つを切っている、一人の少年がいた。頭には日よけなのか茶色い帽子をかぶっていて、あまりいいとは言えない服を身にまとっている。その少年は熱心に木を切っていたが、誤って斧を湖に落としてしまっていた