『あるふぁべっと』
もりまりこ
【「20」にまつわる物語】
息子の名前は霧島太一郎だった。妻が太郎がいいといい、俺は一郎がいいといっ
てふたつをひとつにしてみた。すんなりまとまったのはその日までだった。ある
日、息子がぼくのことをTと呼んでといってきた。なぜってぼく、名前を忘れてしまうかもしれないから・・・。
『拝啓、20歳の私へ』
公乃まつり
【「20」にまつわる物語】
20歳、主人公の私はサークル同期達から仲間はずれを受けていた。温和な性格で得意料理は特製味噌で作る焼きおにぎり。そんな私が嫌われた原因はサークルに提出した企画だった。さらに本番前日、企画で使う場所を先輩達に奪われてしまう。もう無理だ、と諦めかけた時、意外なものが私を救った。
『カウント・オン』
木江恭&結城紫雄
【「20」にまつわる物語】
3倍の速度で拍動する心臓を持つ、F型指定難病「SCAT」患者たち。哺乳類の生涯鼓動数はおよそ不変であることから、彼らの寿命は非患者の1/3程度だと考えられている。SCAT患者の京太郎は放浪の末、五輪区画整理後の新宿で少女・イツカと出会う。
『20番目の女』
籐子
【「20」にまつわる物語】
女は何故順位付けが好きなのか。常に順位を意識して生きる世の中の女達にうんざりしながらも、自分も友人も、結局はその1人に過ぎない事を思い知る美恵子。40歳を過ぎ、ひとりで生きていく人生の先が見えなくなっていた。そんな時に食べた友人のカレーが、美恵子の心をほぐしていく。
『ハタチの覚醒』
中杉誠志
【「20」にまつわる物語】
大好きだった祖母が死んだ。六月、病院のベッドの上で。たしかに死んだはずだった。しかし次の瞬間には、私は病院ではなく家にいた。季節は春先。縁側のリクライニングソファには、生きている祖母の姿があって・・・
『勝てない少年』
鷹山孝洋
【「20」にまつわる物語】
青くて、水平線しか先のない世界。そこで何年も何年も、少年とかけっこをして遊んでいる少女がいた。タイムリミットは20年。その意味を理解し、それでも少女は、少年と追いかけっこを続ける。20年の間に、本当の意味で勝てると信じて。
『20 minutes.』
西橋京佑
【「20」にまつわる物語】
AIが当たり前に浸透した社会で、急遽発表された“能力販売”。AIによって選ばれた首相によると、20日後からどんな能力でも手に入れられるようになる、という。「人間が新たに生きる目的を持てる」と考えていた僕だが、ペットAIの“マギー”がとんでもないことを言い出す…
『20時20分のこと』
室市雅則
【「20」にまつわる物語】
還暦を迎え定年退職をした独り身の男。自然とできた生活リズムの中であることに気が付いた。いつも自分が雨戸を閉めるのは『20時20分』で、その時には必ず女性が向こうの通りを歩いている。