『物語る』
恵
(『シンデレラ』)
物語はいつでも美男美女のハッピーエンド。そんな夢物語に耳を傾けられる人はそんなにいない。それならばいっそ、現実的な物語に作り替えてしまえばいい。おじいさんの言葉に、女の子は物語を作り替えていく。そして、物語の意味に気づく。
『逢魔が時』
檀上翔
(『遠野物語』)
「私」は妻が産気づいたという知らせを受け、病院に急ぐ。途中、女から手紙を老婆に渡してほしいという願いを受けるが、出会った少女から「手紙を持っていけば、災いが起こる」と告げられる。少女から別の手紙を受け取り、老婆に手渡す。老婆は礼として、「私」の望みを叶えるという。
『水曜日の午後にシロツメクサが降る町』
イワタツヨシ
(『浦島太郎』)
町は箱の中にあって閉ざされている。私は早くこの町を出たいと望むが、町の大人たちは「箱の外側は有毒な液体で満ちている」と言うし、町には厳しい法律や約束事があり、そう簡単にはいかない。それに大人たちは誰も実際に外の世界を見たこともないのに「ここがどこよりも平和で豊かだ」と信じていた。
『オトリとサクラ』
はづき
(『ヘンゼルとグレーテル』)
オトリとサクラは腹を空かせ森を彷徨う中、苔で覆われた食べられる一軒の家を見つけた。それは自分達の家そっくりで、中にいたのは眼帯をした1人の老人。「好きなだけ食べて」そう彼に言われるも、吐きそうな程不味い。それでも終わらない空腹に耐えれず、食べ続けた2人が見たものは。
『白雪姫的恋の見つけ方』
小高さりな
(『白雪姫』)
白雪姫の話が嫌いな里香。狩人に助けられ、小人に助けられ、眠っているだけで王子様に見つけられてハッピーエンドなんて、都合が良すぎる。運命の相手を求め、恋に迷う里香23歳から27歳の記憶と記録。