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『目覚ましが鳴らなくて』米田竜馬

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「全然、全然。うちの娘は来年高校受験だけど、特に目標もないみたいだからなんかアドバイスしてやってよ」
「アドバイスですか。うーん、ちょっとでも好きなことをちょっとずつでも続


けておいた方が良いかなぁ。受験とか関係なく。高校受験は正直、好きな子があそこの高校行くから、くらいの理由で良いんじゃない?好きな勉強は勝手に自分でやるようになるから、きっと」
「おい!お前、無責任なこと言ってんじゃね〜ぞ!お前、好きな子いるのか? 聞いてないぞ!誰だ?」
「もう、アドバイスを頼んだのお父さんでしょ!好きな子なんかいないし。。。。」
「そうか、ならいい」
「偉そうにアドバイスして、すみませんでした」
「悪いのは酔ってる父です。ありがとうございます」

と、父がホッピーを 2 本空けたあたりから、話が面倒臭くなったが、みんな楽しくご飯を食べて帰った。

帰りの電車で酔っ払った父は寝ていた。
「“ちょっとでも好きなことをちょっとずつでも続ける”か」と私がつぶやくと
「あの、大学生、良いこと言ったわよね。高校受験の理由は確かに無責任だけど」と母。

来年は受験生。ちょっと不安で暗い気持ちになっていたのは事実。受験を考えると、のんびりできる夏は中 2 の今だけなのかなぁって思っていた。
父の今回の海の誘いは、そんな私のことを思ってのことだったのかも。
いや、そんなことはない。ただ、休みで遊びたかっただけだ。でも、大学生の 言葉が心に残ったのは事実。なんの苦もなく高校も大学も合格したら父も母も ビックリするかな? これは誰も気づかないイタズラかもとワクワクしてみた。ちょっと素敵な夏の日だったな。
私は、隣で寝ている父をぼーっと見ながら思った。

そんなことを、2 度寝できないベッドの中で思い出していた。まだ、目覚ましは鳴らない。
今夜の店は何処にしよう?と考える。フレンチ?イタリアン?和食?なんだか


デートっぽい。父とはちょっと恥ずかしい。
父はいろんな物が食べられる居酒屋が好きだから居酒屋にしよう。そうだ、先輩に連れて行ってもらったお店にしよう。

そのお店は何を食べても美味しい居酒屋。印象に残っているのが、お店でホッピーを頼んだときのこと。

「ホッピーって、渋いね」と先輩。
「ホッピーって低カロリー、低糖質、プリン体 0 なんですよ。渋いっていう方がちょっと古いかもしれませんよ笑」

と、父の受け売りで答える私。

ホッピー1 本とグラスが出てくる。グラスにはシャリシャリの氷しか入っていない。

「すいません、焼酎入ってないんですけど」と店員に言ってみる。

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