「ワシも発明したぞよ。このぼんじりを食べてからホッピーなる物を飲むと、ホッピーなるものが更に美味しくなる上にぼんじりも美味しくなるぞよ」
とまたジョッキを口に運ぶ。
たちまち二人のジョッキが氷だけになると、
「お客さん方。ホッピーは初めてですかい?」
カウンターの中から店主が話し掛けてきた。
「うむ。初めてである」
博士が正直に言うと、氷だけになっている二人のジョッキに目をやり、
「それじゃ、これはあっしからのサービスでさ」
とそれぞれの前にジョッキを置く。上半分とした半分で色が違っている。上は琥珀色で、下はその琥珀色を黒に近づけた様な色である。
「何じゃこりゃ?」
博士が問うのへ、
「ホッピーのハーフ&ハーフでさ」
店主がこたえる。
「まっ、飲んでみておくんなさい」
促され、博士と助手がジョッキを口に運ぶ。
「なんと!美味礼賛。得も言われぬ味が口中に広がるではないか!」
「博士!それだけではありません。一口毎に微妙に味わいが変わるようです!」
「う~む。大将、お主とんだ発明家だな」
「博士、我々も負けてはいられませんね!」
「うむ」
と二人が話していると、この浮世離れしたコンビを面白がった他の酔客たちが会話に参加してきて、
「博士さんに助手さん。私、焼酎+トマトジュース+ホッピーを発明しました。実に美味ですよ。少しタバスコをたらしてもいけます。飲んでみて下さい」
と酔客。
「なんと!美酒佳肴。美味い酒と美味い肴を一時に口に入れた様であるな」
と博士。
「まったくです」
と助手。
「なんの!俺の発明したコーラ入りホッピーもいけるぞ。飲んでみな」
と別な酔客。
「なんと!奇想天外。実に飲みやすい。後味もスッキリしているのぉ~」
と博士。
「実にまったくその通りです」
と助手。
「どうしてどうして、僕の発明したレモン入りホッピーも実にスッキリした飲み口で、焼き鳥との相性は最高ですよ。試してみて下さい」
と更に別な酔客。
「なんと!一姫二太郎。合せて何人。こりゃまたスッキリじゃのぉ~。ヒック」
とこの辺りから少々酔ってきた博士。
「まったくでごぜえやす。ヒック」
とやはり少々酔ってきた助手。
「あたしの発明したライム入りホッピーも美味しいわよ。ほら、どーぞ」
と更に更に別な酔客。
「なんと!奥の細道。行き止まり。こりも格別じゃのぉ~。ヒック」
といよいよ良い気分で四字熟語が怪しくなってきた博士。