「まったくでごじゃりまするな。ヒック」
とやはり良い気分になってきた助手。
「新発明よ。ホッピーにウィスキーも格別ですわよ。おひとついかが?」
と更に更に更に別な酔客。
「なぁんとぉ!富士山麓。オウム泣くときぃたもぉ~んだっと。こぉりも飲みやすいことよのぉ~。ヒック」
とかなり酔ってきて意味不明な事を言い出す博士。
「まったくでござるにお猿でございますなぁ~。ヒック」
とやはりかなり酔ってきた助手。
「盲点をついた発明です。ホッピーをそのまま飲んでみて下さい」
と更に更に更に更に別な酔客。
「ぬぅあんとぉ~っ!スぅナぁフキぃ~ン。ミーの弟ぉ~っだぁったぁ~とぅわぁ~っ。こぉ~~りゃ美味ぁいやっと~っ。くぅわしぃ~っ、味ぃ~のせぇつめぇいわぁ~っ、ほっかぁのひぃいとぉ~のぉ~さぁ~くひぃんを、読ん~でぇ~ねっと。ヒック」
と猛烈に酔ってきた為、自分でも何を言っているのか良く分かっていない博士。
「まぁったぁくぅでござり~まっしやるやぁら、ごぉざぁらぁぬやらで~、そぉ~ろぉ~。ヒック」
とやはり猛烈に酔った為、自分でも何を言っているのか良く分かっていない助手。
この他にも、ハチミツを少量いれてみたり、ジンや白ワイン、赤ワインで割ったり、日本酒で割ってみたりと様々な発明を披露する酔客たちで店内は大盛り上がり。店主も調子に乗って、
「へい、お待ちぃ。あっしの発明した梅肉のせ鶏ささみ。美味しいですぜ」
と言い出す始末。それらの発明をすべて飲みほし、食べつくし、他の酔客が皆帰った頃に残るはすっかり出来上がった博士と助手。
「じぃよ~しゅ~うよ。ヒック」
「なんれひょうか。はぁかしぇ。ヒック」
「きぃよ~おぉ~はぁ~、ヒック。たぁっくさ~~んんのぉ~、ヒック。はぁつぅめぇいを、ヒック。しいぃたぁ~のおぉ~。ヒック」
「まったくれす。ヒック。どぉれぇ~も、こおぉれえぇ~もぉ、ヒック。だあぁいせえぇいこおぉ~でぇしたねぇ~。ヒック」
「でぇ~は、そおぉろそおぉろ~。ヒック。かえぇ~るとするぅ~かあぁ~。てえぃしょょ~。ヒック。かあぁんんじぃようぅ~じゃ~っ。ヒック」
「大丈夫ですかい。お客さん」
と店主に心配されながら外に出た二人。肩を組み、ついさっき二人で発明したばかりの歌を唄いながら、千鳥足で研究所とは反対の方角へと歩き出す。
♫ちょいと、飲んでぇ~っ♪
♫酔ぉ~ってぇ~、いるとぉ~っ、言う人はぁ~っ、♫
♫うぅそぉ~、うぅそぉ~♫
♫ほぉんとぉはぁ~、まだ酔ぉ~ってなぁいのぉ~♫
♫はぁ~っ。ちょいな、ちょいな♫
♫たぁ~っぷぅ~りぃ~とぉ~っ、きぃこぉしめぇしてぇ~っ♪
♫酔ぉ~ってぇ~、いないとぉ~っ言う人はぁ~っ♫
♫うぅそぉ~、うぅそぉ~♫
♫ほぉんとぉはぁ~、もぉ~っ酔ぉ~っていぃるぅのぉ~♫
♫あ~こりゃこりゃ♫
「もぉ~一軒!ヒィィック~~」
二人の蛮声を遠くに聞きながら、
「お酒は適量で。ホッピーなら濃さもお好みや体調に応じて調節できます」
店主がはきはきした声で喋ったかと思うと、今度は小声で、
「ナレーションを発明しちまったな……」
と呟き、暖簾を片付け始める。
空には、にっこりほっこり、まん丸お月さん。