プロパンガスは二本並んでいるのですが、もしチャウチャウ犬の色が灰色だったら、プロパンガスが三本並んでいるように見えます。
「よし」
たっくんは、つま先でゆっくりと歩き始めました。
まだチャウチャウ犬は寝ています。
ちょうど目の前に差し掛かった時、チャウチャウ犬がガバッと起きて、寝ぼけ眼でキョロキョロしました。
たっくんは驚いて声が出そうになりましたが、口を手でおさえました。
ラッキーにもチャウチャウ犬は、すぐに寝てしまいました。
また起きたら困るので、たっくんはスピードを上げて通り過ぎました。
「帰りも寝ていますように」
たっくんは道路で信号を待っています。
お母さんに教わった、青になって、右見て、左見て、もう一回右見てをしてから、渡らなくてはいけません。
しばらくすると向こう側で、たっくんより小さい女の子とそのお母さんが信号を待ち始めました。
女の子はお母さんと手を繋いで、楽しそうに笑っています。
たっくんは、ちょっと寂しくなりました。
信号が変わったので、右見て、左見て、もう一回右見てをして、横断歩道を渡ります。
相変わらず楽しそうにしている女の子とお母さんとすれ違いました。
たっくんは、お母さんはまだお皿を洗っているのかなと思いました。
コーボストアに到着しました。
店のおばさんは、今日も奥の倉庫にいるのか、姿が見えません。
ホッピーを探してお店をうろうろします。
ザルに盛られた皮つきトウモロコシの前を通り過ぎ、水槽で泳ぐドジョウの前も通過し、、牛乳が置いてある所も進むと、レジの前までやって来てしまいました。
どこにホッピーがあるのか、分かりません。
おばさんはまだ倉庫にいるらしく、聞きたくても聞けません。
目をつむって考えます。
お父さんと二人でコーボさんに来た時のことを思い出しました。
『たっくん、ホッピー取って』
ジュースやお酒が並んだ棚の前で、お父さんがたっくんをホッピーのある高さまで、抱え上げました。
『気をつけて』
『うん』
そうやって、たっくんは、茶色の瓶を一本手に取って、お父さんに渡したのでした。
牛乳のある棚の後ろにたっくんは向かいました。
ついにホッピーを見つけました。