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『おかいもの』室市雅則

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 たっくんは、お父さんに誕生日プレゼントを贈ることにしました。
 今日は、お父さんの誕生日なのです。
 たっくんが五歳になった時には、赤い電車のおもちゃをもらいました。
「何にしようかな」
 そう言いながら、たっくんは、『ごはんの部屋』で、お父さんがいつも座っている椅子を見ながら考えています。
 窓辺で外を見ている猫のパールに尋ねます。
「何が良いかな?」
 パールは気持ち良さそうにあくびで応えました。
「もう」
 たっくんは頬を膨らませて、お父さんとお母さんの部屋に行きました。

 お母さんが、掃除機をかけていました。
 古い掃除機だから音が大きくて、たっくんは耳を指でふさぎました。
「お母さん」
 たっくんが呼びかけても、お母さんは気がつきません。
「ねえ」
 もう一度、呼びかけましたが、お母さんはリズミカルに掃除機をかけ続けています。
「もう」
 再び頬を膨らませて、『ごはんの部屋』に戻りました。

 パールもお母さんも相談に乗ってくれないので、一人で考えるしかありません。
 こうなったら、お買い物に一人で行って、お父さんとお母さんを驚かそうと思いました。
まだ一人でお買い物に行ったことがありませんから、ドキドキします。でも、お父さんの喜ぶ顔と、お母さんがびっくりして細い目をまん丸にさせているのを想像すると楽しくなりました。
 しかし、まだ何をプレゼントするか決まっていません。
どうしようかなと、お父さんが椅子に座っている姿をイメージします。
『あー、美味い』
 お父さんの声がたっくんの耳の奥で聞こえました。
 お父さんは、仕事から帰ってきて、お風呂に入った後、『ホッピー』を飲んで、『あー、美味い』と言って、笑顔になることを思い出しました。
 たっくんは、冷蔵庫の前に椅子を引きずってきて、そこに登って冷蔵庫を開けました。
 中を覗くとホッピーの瓶はありませんでした。
「これだ!」
 たっくんが椅子から喜び勇んで飛び降りると、うとうとしていたパールがビクッと起きて、キョロキョロとしましたが、またすぐに寝てしまいました。

 大慌てで自分の部屋に戻るたっくん。

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