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『ホッピハッピと輝く』 渡辺鷹志

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 酒井が特に驚いた様子もなく部屋を眺めていると、ふと、一枚のポスターが酒井の目に止まった。そのポスターは三人組のアイドルのようだった。
 その三人組は全員が同じ衣装を着ていた。また、衣装だけでなくて、その三人は全員が同じような顔をしていて、背の高さも同じくらいで、髪形も全く同じだった。酒井は三人の区別が全くつかなかった。
 さらによく見ると、三人は手にビールのような飲み物の入ったグラスを持って、満面の笑みを浮かべていた。酒井はビールのキャンペーンかなにかのポスターかなと思った。
 三人はアイドルといっても、10代の若いアイドルという感じではなかった。といっても、そんなに年を取っているとも思えない。なんとなく、昔映像で見た昭和のアイドルがこんな感じだったのかなと思った。確かに美人だが、人気女優なんかと比べたらそれほど美人というわけでもなかった。たた、理由はわからないが、酒井はそのポスターに釘付けになった。
「それがホッピハッピだよ」
 大麦が冷蔵庫からホッピーと焼酎を持ってきてテーブルに置いた。
「これがホッピハッピ? っていうかホッピハッピってどういう意味なんだ?」
「ホッピーハッピーの略だよ。つまり、ホッピーを飲んでハッピーになろうって意味だ」
 大麦が得意そうに答えた。
「なんだよ、ただのダジャレかよ」
 酒井は呆れてポスターを見た。
「ま、とりあえず、ホッピーを飲もうぜ」
 大麦は焼酎をホッピーで割って酒井に渡すと、部屋にあったCDで音楽をかけた。
 その曲はアイドルが歌うような明るいテンポの曲だったが、聞こえてくる歌声が、なんというか、今まで聞いたことがないようなとにかく個性的な歌声だった。また、若いアイドルにはない力強さとちょっと妖しい大人の魅力を感じる曲だった。酒井はその曲をどこかで聴いたような気がした。
「これは、ひょっとしてさっき飲み屋で流れていた曲か?」
 酒井が言うと、大麦はうなずいた。
「この三人をどこで知ったんだ? やっぱりオタクだから昔から知っていたのか?」
「お前と同じだよ。数年前にアイドル好きの会社の先輩にあの店に連れてきてもらったんだ。そのときに知ったんだよ」
「この三人は有名なのか?」
「もちろん、誰もが知っているメジャーなアイドルというわけではない。一部の人間にしか知られていない。ただし、ファンからは絶大な支持を受けている」
「この三人はなぜ同じような顔をしているんだ? ひょっとして三姉妹なのか?」
「さあな」
「このホッピハッピのメンバーは何歳ぐらいなんだ?」
 酒井は自分の疑問を次々に大麦に尋ねた。大麦は笑いながら首を振った。
「三人が三姉妹なのか何なのかは、本人達も何も言わないし、プロフィールにも書いていない。年齢もホッピーを飲んでいるくらいだから20歳以上だとは思うが、正確にはわからない」
 大麦は「まあそんなことはどうだっていいじゃないか」と言って、ホッピーを飲みながら楽しそうに流れている曲を聴いている。

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