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『ホッピハッピと輝く』 渡辺鷹志

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 酒井が答えると、店の客がいっせいに酒井のほうを見た。ある人は心から驚いた顔をしていて、ある人はさっきの幸せそうに輝いていた表情がうそのように険しい表情をして酒井を睨むように見ていた。一瞬、店の中の空気が変わったようになったが、すぐに元の様子に戻った。
 酒井は「何があったんだ?」と困惑の表情を浮かべていると、
「ちょっと場所を変えるか?」
 と大麦が小声で言った。
「もう? おれはまだ来たばかりでほとんど飲んでないぞ」
「まあ、いいからいいから。お前に見せたいものがあるんだ」
「見せたいもの?」
 酒井は大麦が急に場所を変えると言い出したのでびっくりした。
二人で飲むときは、たいてい一軒目の店でけっこう長い時間を過ごして、それから二軒目に行くというのがほとんどだった。あるいは一軒目の店に長くいて、飲み会はそこで終わりということもたまにあった。
 酒井が納得いかない様子で大麦のほうを見ると、
「ホッピーもホッピハッピも知らない、つまらない人生を送っているお前のためだよ」
 大麦はにやにやしている。
 酒井はわけがわからなかったが、大麦がテーブルにあったホッピーを飲み干すと席を立ったので、後に続いて店を出た。

「それで次はどこの店に行くんだ?」
 店を出ると酒井が訊いた。
「とっておきの場所だよ」
 大麦は笑いながら言って、歩き出した。飲み屋街を抜けて10分程度歩いたところで、ふと大麦が一軒のマンションの前で立ち止まった。
 酒井はそのマンションに見覚えがあった。
「このマンションって……お前の家じゃないか?」
 そこは大麦が住んでいるマンションだった。酒井は大麦の引っ越しの手伝いをしたので、そこの場所に見覚えがあった。ただ、来るのはそのとき以来だった。
「場所を変えるって、まさかお前の家で飲むってことか?」
「まあ、いいから入った入った」
 大麦に続いて酒井も大麦の部屋に入った。
 大麦はワンルームの部屋に住んでいた。部屋も散らかっていて、いかにも独身男性の一人暮らしといった感じの部屋だ。
 壁にはアニメやアイドルのポスターが何枚も貼ってあった。棚にはアニメのキャラと思われるフィギュアも飾ってある。その他にも、部屋中にアニメやアイドル関係の雑誌やCDがあった。
「まあ、こいつは昔からこうだったしな」

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