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『ホッピー会~出会いに必要なもの、それはホッピーである~』小林加苗

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 店員が立ち去ると、萌花と美春は和那に詰め寄った。
「和那、あまいお酒毛嫌いしているでしょう?ってかあんたが好きなのはどちらかというと泡盛じゃない。梅酒なんてどうした?!」
「いやぁ。だって梅酒って飲んでたらかわいいでしょう?」
 心なしか頬を蒸気させて店員が立ち去った方をみている。
「彼きっとまだ20代前半だよ??どう見ても大学生のバイトじゃん!」
「結婚相手が欲しいってあれだけ騒いでいたの、和那でしょう?」
「いいの!いいのいいの!別にどうこうしようと思っているわけじゃないんだからいいでしょう!」
 和那がブンブンと首を振っていると、先ほどの店員がホッピーセットを持ってやってきた。
「お待たせしました!グラスもキンキンに冷やしてあります!今週もお疲れさまでした」
 冷凍庫に入れてあったのだろう。凍って半透明になったジョッキの中にぎっしりと氷が入っている。
「……最高だね」
 萌花がお手上げだ、というジェスチャーをすると店員はうれしそうに笑って立ち去った。梅酒のホッピー割は想像以上においしかった。梅酒の酸味とまろやかさがホッピーによって際立ち、あまさはいい感じに抑えられている。
「わぁ。本当おいしい。ホッピーの奥深さ、恐ろしいものがあるね」
「えぇじゃぁわたし次泡盛にしてみようかな」
「そうね、じゃあわたしはズブロッカにしてみようかしら」
 きゃあきゃあと騒いでいると、向かいの席から声がかかった。
「お姉さん、お姉さん!ホッピーなか論争なら俺らも混ぜてよ。焼酎以外で飲みたいなら断然ウイスキーがおススメだよ」
 見ると、30代前半くらいだろうか。黒ぶちの眼鏡をかけた男性二人組がウィスキーのボトルを掲げながらこちらを見ている。

 Tシャツはシンプルだがブランドもの
 バックパックは本革
 時計はビジネス用と兼用なのだろう、割といいものをしている

 萌花は素早く彼らの全身に目を走らせ、店内の他の客を見回した。午後20時。店内は8割がた埋まっていたが、他に目ぼしそうな男性グループはいない。
(まぁここらへんで手を打つか。おしゃれ男子があまりいい物件とは思えないけど)
 萌花は小さく頷いた。いつもならここで和那が先陣を切って切りこむのだが……和那はピクリとも動かなかった。両手でジョッキを抱えたままだんまりを決め込んでいる。
(和那、絶対さっきのイケメン店員を意識してる…!)
 自らホッピー会の特攻隊長を名乗っていたくせに。仕方なく、萌花が口火を切った。
「へぇ、ウイスキーも合うんですか!飲んでみたいなぁ」

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