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国際短編映画祭につながる 短編小説「公募」「創作」プロジェクト 奇想天外 BOOK SHORTS

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『ホッピー会~出会いに必要なもの、それはホッピーである~』小林加苗

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「わたし……こんなお店じゃ出会いなんてないと思う!!」
 和那がワイングラスをテーブルにガンっと叩きつけるように置きながら、声高に叫ぶ。

 銀座ダイニングバー「shirogane庵」。ダウンライトの雰囲気がいい店内には、小さく絞ったジャズが流れている。料理もお酒もおいしくて、3人のお決まりのお店だ。
「まぁね。このお店、完全にデートや女子会向きだし。たまーに男性2人で来ている人もいるけど、ちょっとナルシストっぽい人ばかりだし」
 萌花がカウンターの男性二人組に視線を投げかける。細身のストライプスーツに身を包んだ男たちは、飲みを楽しむというよりも周囲の女性たちが気になるらしく、そわそわと若い女性たちを物色している。
「……きっも。あいつらなんでずっと前髪ばっか触ってんだか」
「わたしはね、出会いが欲しいの!もうそろそろ結婚したいの!もうね、イケメンがいいとか、身長が自分より高くなきゃ嫌だとか わがままはいわないから。とにかく普通の人と普通の出会いをして、普通の結婚がしたいの」
「ふふ。和那今日はだいぶ酔っ払ってるね」
 美春がグラスにワインを継ぎ足しながら薄く笑う。本日3本目のワインは南アフリカのメルロー。グラスの中で完熟した深い色合いのワインがゆらゆらと揺れる。
「和那はだいぶ妥協しているみたいなこと言っているけど。普通って最も難しい条件だからね。そしてスペックのいい男はもう大体結婚している」
「んなの!!わかってるよ!」
 和那はぐいっとグラスを開ける。
「そんなに出会いたいなら、お見合い系のアプリでもやったらどう?会社の後輩、それで出会って今度結婚するっていっていたけど」
「あー、あれね。だめだめ。」
 横から萌花が口を挟む。
「わたしお金持っている人としか付き合いたくないから、年収公開されているの便利だなって思って使ってみたけど、なんかもう、男が商品にしか見えなくなってくるの。最初は年収さえ高ければいいやと思っていたはずなのに、気付いたら身長とか、長男次男とかでもフィルターかけちゃっているし。それをさ、相手もやっていて複数の女性と一度に比較検討されているかと思うとなんかしんどくなる」
「たしかに。それは嫌だわ。どうやったって数値だけで比較するのであれば、年齢で振り落とされそうだし。日本人の若さ信仰にはまじ辟易するわ。それに何よりも、わたしはあくまでも自然に出会いたいの!」
「そうね、自然に素敵な人と出会えるのがベストよね。和那、ちょっとボリューム大きいから。少しお水でも飲んで」

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