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『ホッピー会~出会いに必要なもの、それはホッピーである~』小林加苗

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「じゃぁ改めて。この素敵な女性たちのホッピーデビューを祝して乾杯!」

 いくつになっても男は「教える」という行為が大好物だ。そして男性を落とすためのテクニックでよくつかわれる「さしすせそ」はそんな男の教えたがりの本能を満足させるためのマジックワード。
「さすがぁ」「知らなかったぁ」「すごーい」「センスいいですね」「そうなんだぁ」
 最初からホッピーという共通話題があることで、会話はスムーズに盛り上がった。途中席をボックス席に移し、飲みは進んだ。テーブルにはホッピーの空き瓶がずらり。どれだけ飲んだかのを見せるために、ホッピー飲みたちはこうやって瓶を並べるのだという。
 時間がたってくると、自然と男女ペアになっていた。和那は30代後半くらいのスキンヘッドの男性と。美春は40代前半の落ち着いた雰囲気のメガネの男性と。そして萌花はヒゲを生やしたお金持ち風の男性と。
 飲むスピードがあまりに早いために、テーブルにはホッピー中のたっぷり入った焼酎ボトルと氷、そして予備ホッピーが置かれている。さくさくとそんなセットを用意してくれ、グラスが空けば注いでくれる男性陣のおかげですっかり気持ちよく酔っ払っていた。
「ちょっと、お手洗いに行ってきますねぇ。ではっ」
 変な敬礼をし、ふらふらと立ちあがった和那を見て心配そうに美春が後を追う。
 トイレに行ってみると、案の定個室からは盛大に吐く音が聞こえていた。
「和那!和那!大丈夫??ちょっと鍵開けて」
「……うぅ。だいじょばないいい。気持ち悪い」
「ちょっと調子乗って飲みすぎちゃったね。今お水もらってくるから」
 3人の中で和那が一番お酒に弱い。といっても一般的なレベルからいえばかなり強く、むしろ酒豪と呼ばれる部類なのだが。
 店員に水をもらいトイレに戻ってみると、和那は便器に突っ伏したまま寝息を立てていた。
「あーこれ、完全にアウトなパターンだね」
 どうしたものかと、美春がため息をついていると後ろから萌花の声がした。
「まったく酒弱いくせにガン飲みするからこうなるんだよ。タクシー呼んで帰ろうか」
「そうね。でも萌花いいの?あのヒゲ、どっかの社長でしょう?お金もってそうだし」
 萌花が大げさにため息をつく。
「あーいい、いい。さっき名刺もらったけど小さいベンチャー系の会社だし。そのくせ自分は女には困っていません、彼女の一人にでもしてやりましょうか的な発言ばっかり。あんな男と結婚なんて死んでも考えられないわ。それより美春はいいの?あの線の細そうなメガネ、結構タイプでしょう」
 美春がくすりと笑う。
「彼たぶん結婚してるよ。さっき携帯の待ち受け、ちらっと見ちゃったんだけど赤ちゃんの写真だったし」

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