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『ホッピー会~出会いに必要なもの、それはホッピーである~』小林加苗

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 店はかなり手狭。3人はカウンターに並んで座っていたが、店員や他の客が通るたび、軽く肩がぶつかる。しかしそんな窮屈さも気にならないくらいに料理がおいしかった。
「ねぇ、名物の馬肉すき焼き頼もうか」
 美春も珍しく、テンション高めにはしゃいでいる。
「お待たせしました、とろとろ馬もつ煮とホッピーセット3つです!」
目の前にどしんっとホッピーの瓶が並べられる。ジョッキにはなみなみと注がれた焼酎。3人はいそいそと各自ホッピーを注ぐと、ジョッキを高く持ち上げた。
「それでは第1回ホッピー会にかんぱーい!」
 生ビールよりも炭酸がきつくないため、ホッピーはするすると喉を滑り降りていく。舌の上に残るのは黒ホッピーのかすかな苦み。胃の中で焼酎がポッと火をともすのがわかる。
「なにこれ……おいしい」
 美春はびっくりしたように口に手を当てる。
「でしょう!ホッピーおいしいんだから。その上安いっていうね。ホッピー最強説」
 自慢げに語る和那に対し、萌花がすかさず突っ込む。
「別にあんたが開発したわけじゃないでしょうに」
「……ふふふ」
 突然男の人の笑い声がして振り返ると、カウンターで隣に座っていた男たちが面白そうに3人のやりとりを見ていた。
「笑ってしまって申し訳ない。あまりにかわいいやりとりだったもので」

 年は30代後半から40代前半。
 結婚指輪なし。
 スーツと時計はそこそこのブランド物。
 一人はおしゃれひげを生やし、高級そうなネクタイをしている。

 3人は素早く男たちの外見をチェックし、目配せをしあった。
 ここで会話を続けるか否かが今回のバトルの重要な分岐ポイントになる。誰それ構わず話していたのでは、本当にいいターゲットが現れた際にハンティングミスをしてしまう可能性があるからだ。
 萌花が小さく頷いた。男のステータスを見抜くことではピカイチの彼女がOKを出したのだ。あとは安心して攻めるのみ。
「お恥ずかしいところを……実は私たち今日がホッピーデビューだったんです。前々から飲んでみたいなとは思っていて。よかったら飲み方教えてもらえますぅ?」
 和那が先陣を切って切りこむ。
「そうだったんですね。そんな記念すべき瞬間に立ち会うことができたなんて、僕たちは幸せ者だ!もちろん。こっちはホッピー歴10年以上のベテランです。なんでも聞いてください」
「わぁ、頼もしい!」
 美春が小首を傾げながらわざとらしくシナをつくる。

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