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『ファースト・ホッピー』柿沼雅美

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「ちょっとダサくない?おじさんばっかりじゃない?」
「だからいいんじゃん、若い子ばっかりのとこなんてうるさいしチェーン店じゃおつまみ代わり映えしないし」
 友里がそう言って威勢よく店のドアを開けた。ガラガラっと横にスライドしたドアの中は、冷房の風が吹いていて、太い声がそこかしこで飛び交っていた。
「ほら、女の人もいる」
 友里が言うと、奥には近所の人のような女性のグループが座敷でくつろいで笑っていた。ホッピーでハッピー、と思い出す。
 いらっしゃあい、という若い男の店員の声に、友里が空いているカウンターを指さすと、どうぞー、と店員がすぐに言ってくれた。足元にはバッグをかけられるフックがあり、友里は慣れたようにバッグをかけて、とりあえずビール2つ、と頼んだ。私は、あっ、と言いかけて間に合わなかったと思って椅子に腰かけた。
「お客さんもビールでいいんですか?」
 若い男の店員はカウンター越しに私を見た。
「あ、じゃあ、えっと、レモンサワーありますか?」
 居酒屋なんだからレモンサワーあるに決まってるだろ、と心の中で自分に突っ込んだ。
「ありますよー、はい、ビールとレモンサワー」
 店員は、私の自分突っ込みを察したのか、いい笑顔で注文を受けた。
「あ、すみません!やっぱりホッピーで!お願いします!!」
 友里が手を挙げて訂正した。
「ホッピー、飲むっけ?」
 私が言うと、うん、と頷いた。
「あんまり酔いたくないときとか、昔はなかなか貯金してなくて飲み代かさむなぁってときによく飲んでたんだよね。最近は全然だったけど、ここホッピーがよさそうじゃん」
 友里が言うと、そうなんですよぉ、と言いながら店員が、ホッピーとレモンサワー!と注文を通した。
「お客さんのほうは、飲まれないんですか?ホッピー」
 店員が私を見る。飲まないですね、とはっきり言おうと思ったけれど、顔を合わせて、あれ?と思う。特にかっこいいとかいうわけでもないのに爽やかな風に吹かれた気分で、思わず小さく呼吸を整えた。
「そういえば彩夏がホッピー飲んでるところみたことないよ」
 友里が言うと、彩夏さんっていうんですか、と店員が言う。え?という顔をしてしまったのか、店員は、すみません、と言いつつ続ける。
「僕の初恋の子がさやかって言うんですよ」
「えー、お兄さんすっごいオープンな子ですね、聞きたい聞きたい」
 友里がもう楽しそうだ。

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