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『妄想彼氏』ウダ・タマキ


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 フランクな関係性を構築するにはどうすれば良いか……夕飯を食べながらそんなことを考えたが、きっとそんなことを考えているうちは、フランクな関係性を築くことは不可能だという結論に至った。
「週末、三人で出掛けるか?」
「珍しいわね。渚の予定次第ね」
「聞いといてくれ」
「いいけど、どこ行くのよ?」
 咄嗟に口から出たので、何も考えていない。
「それも渚に聞いといてくれ」
「自分で聞けばいいのに」
「いいから!」
 まずは一緒に出掛けることが、私なりにできるフランクな関係を生み出す為の一歩だと考えた。
 週末は車で一時間ほどの所にあるアウトレットモールへ行くこととなった。渚が買いたい物があるのだそうだ。
 うだるような暑さと人混みにウンザリしながらも、私は父親としての面目を保とうと努めた。
 しかし、どの店に入っても渚は真理子と行動を共にする。そこは女性同士、服や雑貨を見ては目を輝かせて楽しそうにやっている。そして、支払いの時になると真理子が私をレジへと招く。今日の私のハイライトはそこだった。
 ワンピースにハンドバッグ、チークに口紅。私の財布にあったお金たちは、夏を満喫する為のツールへと化けていった。
「そろそろご飯にしようか?」
「そうね、お腹空いたね。渚は何が食べたい?」
「ラーメンでいいよ」
 久々に一緒にする食事はフードコートに決まった。私の向かい側に真理子と渚が並んで座った。
「父さんは何も買わないの?」
「父さんはいいよ。渚は他に何か買うのか?」
「そうね……あ、あと雑貨屋に行っていいかな?プレゼント買いたいし」
「プレゼント?」
 プレゼントと言えば、きっと彼氏に贈るものに違いない。何を買うかによって、彼氏がどんなタイプの男かを読み取ることができる良い機会だ。
「よし、じゃあ、食べたら雑貨屋に行こうか」
 私の心は妙に躍った。
 雑貨屋でも、やはり私は蚊帳の外だった。渚は商品を手にとっては、真理子と楽しそうに品定めをしている。店内の女性の多さと、ディフューザーやらアロマオイルの香りに酔ってしまい、私は店の前で会計の時を待つことにした。
「お待たせ!」
 渚が笑顔で店を出てきた。
「何も買わなかったのか?」
「買ったよ!」

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