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『息子の彼女』スマイル・エンジェル


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「わ~すごいですね!沢山実っている。これは、何ですか?」と美玲さんは、野菜の一つ一つを尋ねてくる。私の、答えに、驚いたり、関心したりと素直なリアクションが美玲さんの好感を更に上げた。
 お昼ご飯は、前日から仕込んだ生地で焼いたピザと、グラタンと家庭菜園の野菜をふんだんに使ったサラダを用意した。食後のデザートに手作りのババロアと美玲さんが、焼いてきてくれたクッキーを出した。
 クッキーは、美玲さん曰く「初めて作ったので、美味しいかどうか…」と言う通リ、見た目は、少し不格好で焼きにむらがあったりはしたけど、一生懸命さが伝わる味だった。
 その後、全員でトランプをしたり、小さい時の航や優香のビデオ映像を見て、楽しいひと時を過ごした。
 富雄さんも、オヤジギャグを連発して、優香からのダメ出しを連発されている。
 また、優香と美玲さんも、すぐに仲良くなり、二人で優香の部屋で何やら女子トークをしている。
 この日、何よりも驚いたのが、航の美玲さんへのさりげない気遣いぶりだった。
 美玲さんが、航をあんなにも、慕ってくれる気持ちが理解できるほど、航の優しさと思いやりに充ち溢れた振る舞いに胸が熱くなった。
 夕飯は、富雄さんが、自ら進んで【もんじゃ焼き】を作るという。富雄さんの18番で子供達も大好きなメニューだ。私は、遅くなったら美玲さんのご家族が心配するかと躊躇したが、航が家まで送る事になった。
 慣れた手つきで、富雄さんがもんじゃ焼きを作り、初めて食べると言う美玲さんに、航が食べ方を伝授してあげる。
 また、楽しく賑やかな夕飯となった。
 もんじゃ焼きもなくなり、鉄板に残ったおこげを富雄さんが削っていると突然、美玲さんが、泣き出した。
 私達家族の視線は、美玲さんに集中し。
「あ、すいません。これ、嬉し涙なんです」と少し笑顔で美玲さんが言う。
 優香が、そっと差し出したティッシュを美玲さんが受け取り、涙を拭い「私が小学5年生の時に母が家を出て行きました。それから、祖母と父と3人で暮らしているんです。私、一人っ子だし、父も仕事が忙しくて、食事はいつも祖母と2人なんです。こうして、賑やかな家族団らんって、家にはないんです。だから、感動しちゃって」
 富雄さんが「また、いつでも遊びに来てよ」
「今度、一緒にケーキ作ろうよ」と優香が言う。
「ありがとうございます。本当に今日は、とても楽しかったです」と満面の笑顔の美玲さん。

 玄関で帰る支度をしている美玲さんを送ろうとして、靴を履きかけた航に私は「小声で、モンダミンした?」と咄嗟に小声で聞く。
 航も、はっとなり、急いで、洗面所に走って行く。そばで見ていた優香が状況を察知して、クスリと笑う。全く状況が分からない富雄さんは、ひたすら、美玲さんに笑顔で対応している。
 私も、美玲さんに「また、いつでも遊びに来てね」と笑顔で。
 急いで戻って来た航からは、モンダミンの微かな香りが漂う。
 航が、少し、照れながら、「じゃあ、ちょっと送ってくるから」と言い、
 美玲さんと航が玄関から出ていく。
 2人を見送った優香が「でもさ~。美玲さん、一体、航のどこがいいの?」

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