「認めるもなにもね。そんな、まだ、高校2年生だしね。これから、まだ、長い人生ね、色々あるしね」
「私、本当に真剣なんです!よろしくお願いします」と深く頭を下げる美玲。
「こ、こちらこそよろしくお願いします」
私は、その日の晩に、寝室で寝支度を整えた富雄さんに、美玲さんとのやり取りを一部始終話した。
聞き終えた富雄さんは「学校一番の美少女に航がそんに慕われてな。正直親としては、嬉しいな」
「私は、母親だから、うちの子一番っていつも思っているけど。他人様にあそこまで素直に褒めてもらえると舞い上がっちゃうわ」
「航は、俺に似て、優しいからな」
「自分で言う?あら、私の遺伝子も入っているんですけど」
「そうですよ。俺たち、2人の最高傑作だもんな」
私は美玲さんの美しさを思い出して「ほら、美女と野獣って物語があるじゃない。優香が言うようにさ、美玲さんと航が並ぶとさ、美女とモヤシ?って感じ」
「おい、君が航をそんな風に言うなよ」
「だって、本当に美玲さんって、メッチャ可愛い?ううん。美しいのよね」
「そうか、今週の日曜日か。楽しみだな」
その日は、朝から大騒ぎだった。航の彼女の美玲さんが、初めて我が家に遊びに来ると。
富雄さんは、前日にお小遣いから奮発して、美容院に行き、カットとカラーリングをして、リビングのワックスがけまでやってくれた。
優香も珍しく自分の部屋を片付け、洗面台を陣取り、髪を編み込みをしている。以外にも、航は、浮足立つこともなく、いつもと変わらずと私には、思えた。
そして、私は、学校で美玲さんに出会ってから、不思議な高揚感に包まれていた。美玲さんが、あそこまで航を思ってくれている事が、今まで子供たちへ全身全霊で注いできた愛情を認めてもらえた嬉しさだった。
航が、美玲さんを駅まで迎えに行ってる間に、富雄さんは、洗面所でこっそりとモンダミンを使っているのを、私は、目撃した。
玄関で私と富雄さん優香で美玲さんを出迎へた。
玄関に立つ美玲さんは、肩までの髪をふんわりとカールして、やわらかい素材の白いブラウスに薄いブルーのフレアスカートを着て爽やかで清楚な美しさを放っている。
横で恥ずかしそうにしている航と美玲さんのツーショットを初めて見たが、親の欲目ではないが、そんなに釣り合わないでもないなと思える。
美玲さんに初めて出会った富雄さんは、大人気なく明らかに狼狽している。
優香は「ヤバイ。ありえないんだけど」と小声で呟いた。
私は、二人のリアクションに笑顔で応えた。
部屋に入った美玲さんは、まず、私の一番のお気に入りの場所のベランダを見たいと言うので案内をする。
私のブログを見ていて興味を持ってくれているようだ。