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『ハナ爺とボク』高岡美幸


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 ハナ爺は、晴人にとって兄弟であり親友だった。うちで過ごしたのは3年という短い期間だったけど、晴人にとっても私にとっても大切な存在になっていた。
 晴人は今、どんな気持ちなんだろう。
 なんとか晴人を元気付けたかったが、どうしたらいいのか分からなかった。
 今、晴人が喜ぶ事ってなんだろう。

 その時、ある日の夕食時に晴人が話していた事を思い出した。
 …そういえば、花火の話をしていなかったか。
 急に鮮明にその時の晴人の顔が思い浮かんだ。何か話したそうにモジモジして俯いた顔。
 あの子は我儘を言えない子だ。私が、言えなくさせている。
 晴人は花火をやりたかったんじゃないか、そう思ったらいてもたってもいられなくなった。仕事をできる限り早く終わらせ、帰りに急いで花火を買いに走った。
 そうだ。あの時は、ハナ爺と、…あの人もいた。3人と1匹で小さな庭でやった花火は、すごく楽しかった。晴人も楽しそうにはしゃいでた。

 家に帰ると「晴人、花火やろう!」とできる限り明るい声で言ってみた。
 晴人は一瞬固まったが、すぐに笑顔になり、「うん!」と明るく答えてくれた。
 よかった、嬉しそう。
 私もなんだか嬉しくなった。

 

 

 

 

 

 ハナ爺が死んじゃってから、ボクは毎日泣いていた。
 もちろん、ママには内緒で。
 ボクが泣いていると、ママがすごく心配そうな顔をするから、ママの前では泣かないように頑張った。
 夜、寝る前に部屋に1人になると、泣きたくないのに涙が出てくる。
 ハナ爺の笑顔を思い出すと、胸が苦しくなる。
 もっと一緒にいたかった。もっと遊んであげたかった。
 ハナ爺辛かったのかな。気付いてあげられなくてごめんね。
 ママは、ハナ爺はおじいちゃんとおばあちゃんの所に行ったんだねって言ってた。
 今頃おじいちゃんとおばあちゃんと遊んでるかな。そうだといいな。

 

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