ずっとハナ爺の事が頭から離れなくて、辛かった。
でも、今日ママが花火を買ってきてくれてすごく嬉しくなった。
一緒にやろうって!
ボクが花火やりたいって何で分かったんだろう?
ママもやりたかったのかな?
その日、ママと一緒に庭に出て、2人で花火をやった。
あの時みたいにパパはいないし、ハナ爺も天国に行っちゃった。
でも、ママと2人でやる花火もすごく楽しかった。
何より、ママが楽しそうに笑ってる。
しばらく夢中で花火をやっていると、あの時と同じ匂いがした。
花火の匂いに混じった蚊取り線香の匂い。
ハナ爺がいないから今日は蚊取り線香つけてないのに、なんでだろ?
そう思って犬小屋の方を見たら、あの時とおんなじように、ハナ爺が笑ってた。
…そっか、ハナ爺がボクの願いを叶えてくれたんだね。
「これから毎年花火やろうね!」
「うん!!」
2人の笑顔が花火の明かりでキラキラと光っていた。