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『ハナ爺とボク』高岡美幸


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 今日も仕事がバタバタした。打ち合わせが3件もあったせいで他の仕事が進まず、一日中頭フル回転で働いた。
 最近夕飯はいっつもスーパーのお惣菜ばかりだ。晴人は文句も言わずに美味しい美味しいと食べてくれる。最近、その晴人のものわかりの良さに甘えてしまっている。
 そうだ、いつも同じコロッケだと飽きただろうから、カボチャコロッケにしてみようかな。美味しいかなこれ。晴人喜んでくれるかな。

「ただいまー!」そう言うと、晴人がいつものように笑顔で「おかえり!」と出迎えてくれた。この笑顔の為なら、私は何だってできる。
「すぐに夕飯にするからね!」

 夕飯の準備ができると、晴人と向かい合わせで食卓に座った。我が家の定位置だ。
「いただきます!」そう言ってカボチャコロッケを一口食べてみた。
 うん、おいしい!普段買うコロッケもおいしいけど、私はこっちの方が好きかも。
 他愛ない会話をしながら、ふと晴人の方を見ると、ごはんが全然進んでいなかった。いつもならもっと良く食べるのに。普段買うコロッケの方が良かっただろうか。
「そのコロッケ、美味しくない?」と聞くと、「ううん、これも美味しいよ。」と言ってたくさん食べてくれた。
 良かった、美味しいみたい。でもやっぱり普段買うコロッケのほうが晴人は好きなんだな。今度コロッケにする時はそれにしよう。

 
 翌日、いつものようにバタバタと朝ごはんの準備をしていた。晴人がハナ爺にエサをあげに行っている。
 朝ごはんの準備ができた頃、いつもなら晴人はすぐに席につくのに、今日はまだハナ爺の所にいるみたいだ。
 私は庭に出てハナ爺をなでている晴人に声をかけた。
「晴人、ごはんできたよー?」
 でも晴人は全くこっちを見ず、ハナ爺をずっと撫でていた。
「晴人?ごはんできたってば!」
 晴人の横にしゃがみこんで覗き込むと、晴人はじっとハナ爺を見つめたまま頭を何度も何度も撫でていた。
「ママ、ハナ爺、なでなでしてもずっと動かないよ」
 ……私はハッとした。
 そういえばさっきからハナ爺、ずっと動かないままだ。

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