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『ハナ爺とボク』高岡美幸


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 でも、やっぱり花火の事は言うのはやめよう。ママ、疲れてるからちゃんと休ませてあげなきゃ。

 

 朝起きたら、カーテンからすっごい日が差してた。今日も暑くなりそう。
 ボクはハナ爺のところに行った。ハナ爺はいつものように寝てる。
「ハナ爺ー!きたよー!ごはんあげるからね!」
 そう言って蚊取り線香に火をつけ、ごはんをうつわに入れた。
 ほら、ハナ爺、朝ごはんだよ?
 いつもならボクが来たらすぐに起きてしっぽフリフリするのに、ごはんを目の前にしてもずっと眠ったままだった。
「ハナ爺?」
 ボクはハナ爺の頭を撫でてやったが、ハナ爺はいつものように気持ち良さそうな顔もしてくれず、顔も上げずにずっと眠っていた。

 
 そのまま、ハナ爺は2度と起きなかった。

 

 

 私の息子は小学校3年生になった。

 1年生の時に離婚したから、あれから…もうすぐ2年か。早いなぁ。
 離婚した当初は、私が母親も父親もやってやる!って思ってたけど、全然できてない。
 晴人に寂しい思いばかりさせている。
 晴人の気持ちを尊重したい、晴人の話を聞いてあげたい、そう思っているのに、日々の目の前の事にいっぱいになってしまってちゃんとできていない。
 この前なんて、晴人が話をしているのを遮って「早くお風呂入っちゃって!」と言ってしまった。
 毎日仕事に家事、晴人の宿題や学校の事、やる事や考える事がありすぎて爆発しそうになる。
 そんな私を見ているから、晴人は自分の事をあまり話さなくなってしまった。
 たぶん、私の負担が増えると思ってるんだと思う。
 一度「悩みとかあったらなんでも話してね?」と言った事がある。「わかった!」と言っていたけど、それから何か相談されたりした事は無い。
 子供に気を遣わせるなんて、ほんとにダメ親すぎる…。自分で自分が嫌になる。

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