小説

『出自』滝怜奈(『かぐや姫、桃太郎、親指太郎』)


 「見てください、これ!光る竹です!」
「やばくないですかー、皆さん!てか竹切って中見てみようよ、かぐや姫みたいに人がいるかもよ!」
「そんなわけないでしょ(笑い)。でもまあ、切ってみようと思います!(決め顔)」
ぎこぎこぎこぎこ。ぎゃあああああ。
「え、なんかマジで赤ちゃんいるけど…」
「これどうするよ?動画撮ってる場合じゃない、病院いく?警察?市役所?」
「わかんない、とりあえず警察?」
「というわけで、僕たちこれから警察?言ってきまーす!」
 ここで動画は終わっている。これが私の出自である。

 竹から生まれた赤ん坊。現代のかぐや姫。一時期、新聞やテレビをにぎわせたフレーズだ。私の両親は散歩中に光る竹を見つけ、近くのホームセンターでわざわざ小さなのこぎりを購入し、光る竹を切る様子を動画に撮影したのだ。まだ若く、考えの浅かった両親はその衝撃的な動画をテレビ局や新聞社に持って行き、かくも話題になったのである。そんな両親のせいで私は苦労する羽目になったのだ。デジタルタトゥーもいいところである。まあその当時、そんな言葉はなかったため仕方のないことでもあるが。ちなみにこの動画はインターネットで「光る竹 赤ちゃん」とでも検索すれば出てくる。いまだにある程度再生されているようだ。
 竹から生まれてきた私は、赤ん坊のころから皆の興味の対象であった。赤ん坊のころは両親のもとにテレビの取材が来ていたらしい。さらに海外のテレビクルーまで取材に来たそうだ。私がある程度成長すると「現代のかぐや姫」の成長を取材に来た。某オカルト雑誌では私は月からやってきた宇宙人だという記事が書かれていた。さらには、私と両親に血縁関係はあるのかというバカげた調査までしてくれた。不思議なことに、私は竹から出てきたにもかかわらず99%の確率で両親の血のつながった娘だそうだ。

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