小説

『波と波の間』村上ノエミ(『人魚塚』(新潟県上後市))

 もう大丈夫。もうわかったの。掟の秘密が解けたから。

「待っていたのよ」
 家に戻った貴方は、一瞬驚いた顔をしたから、
「明日からは私も一緒に行くわ」
 と言うと、貴方は顔を緩めて
「里、歌を歌ってくれるかい」
 と、私の手をひきました。

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