小説

『神推し』花園メアリー(『古事記』)

 なんたって今夜は、超、超、超プレミアムなファンミーティングが開催されるのだ。
 どうプレミアムなのかというと、神業界人気ナンバーワンの高天原グループと、神の在籍者数ナンバーワンの出雲の国グループが、なんと合同で、ファンとの交流を明晰夢の中で行うというのだ。しかも、それぞれのグループのトップに君臨する神が、ステージに登場して挨拶もするという。
 さらに信じられないことに、MCは極楽浄土から来日中の仏陀だという豪華絢爛ぶり!
 これは、もう命に代えてでも参加したい……。
 それが人間というものだ。
 夫は、わたしがこっそり推し活を再開しようとしていることなど夢にも思わず、久々にゆっくり楽しんだ晩酌で酔いが回ったのか、だいぶ早い時間から気持ち良さそうに布団にくるまり、すでに安らかな寝息をたてている。
 そんな夫にわたしはそっと両手を合わせた。
 それから、わたしは明晰夢が始まる時間に合わせ、きれいに髪を整えると、新品のパジャマに着替えて、夫を起こさないように静かにそっと布団に入った。
 久しぶりの推し活。
 胸の鼓動がドキドキと、痛いほどに高鳴ってくる。
 いかにも神めいた厳かなファンファーレとともに、ファンミーティングの明晰夢の幕が開いた。
 これこれ! このト・キ・メ・キ。
 金ピカの衣装と卍のアクセサリーでキメキメの仏陀がステージに登場し、軽快なマントラ調のMCで開会を宣言する。

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