小説

『人格が入れ替わらない物語』永佑輔(『とりかへばや物語』)

 下校時、花子はイヤホンから流れる音楽を聴きながら今朝の曲がり角に差し掛かった。ハッとしてイヤホン外し、前を見る。
 下校時、太郎はヘッドフォンから流れる音楽を聴きながら今朝の曲がり角に差し掛かった。ハッとしてヘッドフォンを外し、前を見る。
「今朝はごめんなさい」
 同時に口にした花子と太郎は、思わず笑ってしまった。そして、未だに落ちている〈食パンinカップうどん〉を一緒に片付けた。

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