目を覚ました私の脳裏には、光に溶け込むシロの後姿がはっきりと残っていた。 私はそこで櫛の灰のことを思い出して、起き上がると、リビングのカーテンを開ける。 途端、晴れやかな色の光が部屋に差し込んだ。 灰を撒いた枯れ木は、みずみずしい若葉と、柔らかな色の桜を満開にしていた。 もう、夏だと言うのに。 あんなに立派な姿になっていたのに、どうしても思い出されるのはやんちゃな子犬の時の姿で、私は少し鼻をすすった。 4/4 前のページ 8月期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4