一人になった部屋で、私はしばらくしょげ返ったキィちゃんとともにうなだれていた。妹とは、もう仲直りすることはあるまい。そればかりか、この話を聞いた者は誰でも、私のことをひどく性格の悪い、ひねくれた姉娘だと思い込むに違いない。
しかし、と私は考える。アイツが以前タニシであったという事実は、動かしがたい。妹が彼と結婚したところで、その真実は事あるごとに平凡な日常の中に浮かび上がり、妹にコイツはやはりタニシでしかないのだ、という痛感と戦慄とを与えるに違いない。あるいは何気ない朝の一言に、またあるいは一人目の子の誕生の際に。
そうなってから後悔しても遅いのだぞよ、と私は日曜の午後の光が明るく射し込むリビングで、独りウッスラと力無く微笑んだのであった。