「違うよね?」
美琴が自信を持って尋ねてくる。
「これ隠したの、わたしだって疑ってんの。違うよね?」
八神さんも大きな声で聞く。
「兎和があんなところに持っていくわけないじゃない。みんなで集めたんだよ?」
「そんなことわたしに言われても」
「他のことだってどうせ八神さんたちの仕業でしょ? 分かってんだから」
「何よ、他のことって」
「ここの鍵がなくなったり、置いてあったものがなくなったり」
「本気で言ってんの?」
八神さんが笑い声を上げる。
「それも全部、白井さんがやったことだから」
「そんなの信じられるわけないじゃない」
「ねえ、みんなにちゃんと言ってあげてよ」
その場から一歩も動かない兎和に八神さんが近づき、肩をポンと叩く。
「やったのは自分です、って」
「やらされたんでしょ、兎和?」
美琴の声は落ち着いている。
「黙ってなよ。今答えるところなんだから」
八神さんが「ねえ」と兎和を小突く。
「やったのは全部、兎和ちゃんだもんね」
兎和は小さく頷いた。
「ほら~」
「そんなの言わされてるに決まってるじゃない」
「ほっ、……本当なの、本当なんだ」
兎和がしぼり出す。