やがて二人は、お地蔵さんたちのところに連れだってやってきて、子供が授かるようにとお祈りするようになりました。
お嫁さんは、子供の地蔵の小さ子には特別に可愛い花束を作って供え、
「どうか、お地蔵様のように元気で可愛い子が授かりますように」
と、熱心に願います。
小さ子は、青年のお嫁さんも大好きになりました。
桃の木の精や瓜の実の精たちは、
「そんなにあの二人が好きなら、人間の赤ん坊に化けて、あの二人の子になっちゃえばいいのに」
そう言って、小さ子をけしかけます。
そんな子供でも二人は喜ぶのかしら? それが二人の願いを叶えることになるのかしら?
そんなふうに小さ子が迷っているうちに、二人の間には一人の可愛い女の子が生まれました。
青年と青年のお嫁さんは、小さな女の子のお父さんとお母さんになったのです。
二人は、嬉しそうに、お地蔵さんたちの許にお礼を言いにきました。
それからは毎日、三人でお地蔵さん参り。
女の子が赤ちゃんの頃は、お父さんが抱っこしたり、お母さんがおんぶしたり、女の子が歩けるようになると、三人仲よく手をつないで。
お父さんに抱っこされた小さな女の子に、小さな手で花の首飾りをかけてもらった時、小さ子はとてもとても嬉しかったのです。
両親をなくしたばかりの頃、青年がたった一人で誰もいない家に帰っていく後ろ姿を見送っていた時の悲しい切なさとは違う切なさで、小さ子の胸はいっぱいになりました。