小説

『月一会議のシンデレラ』真銅ひろし(『シンデレラ』)

 そんなシンデレラだったがお城の舞踏会に行ってみたいと思う。
 しかし家族はそれを拒否。
 そんな時魔法使いが現れ、馬車とドレスとガラスの靴を与え舞踏会に行かせる。
 そして舞踏会で王子に見初められる。
 しかし魔法が解ける前に王子の前からいなくなるシンデレラ。
 王子は手掛かりのガラスの靴を頼りにシンデレラを探し、見つける。
 シンデレラは王子と結婚し幸せに暮らす。

 大筋はこんな感じ。少し違う感じで書いているものもあるけれど王子に見初められるのは変わりない。
 美人で一発逆転・・・。
 その通りと言えばその通りだけれど、そんなに問題にするべき所だろうか?苦難に耐え、素敵な王子と出会い、最後は幸せになる話は素敵な話ではないだろうか?
「・・・それでも顔か・・・。」
 けれど、そうかもしれないがなんだかしっくりとこない。
 果たしてこれに太刀打ち出来る意見を考えられるだろうか?
「はぁ・・・。」
 大きくため息がこぼれる。

 ―――――1ヶ月後。
 会議。
「先月理子先生から提案があったシンデレラの件なんですが、いかがでしょうか?みなさんの意見を伺ってみたいんですが?」
 園長先生が口火を切る。
「・・・。」
 みんななかなか口を開こうとしない。誰かが意見するまで話しづらいのだろうか。
「それじゃあ、美和先生。」
「え、私ですか?!」
 誰も何も言わないので園長先生が私を指名した。
「美和先生はどう思いますか?」
 みんなの視線がこちらに集中する。
「私は・・・。」
 緊張が走る。
「私は、あの、無くさなくてもいいんじゃないかなぁって思うんですが・・・。」
 この言葉に理子先生は一切表情を変えずにこちらを見つめる。
「それには何か理由があるんですか?」
 園長先生が先を促す。

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