小説

『月一会議のシンデレラ』真銅ひろし(『シンデレラ』)

 特に出て来ない。あってもいいし、なくてもいい、とも思う。
 私はどっちなんだろうか?
「・・・。」
 シンデレラをこんなに真剣に考えた事がなかった。本当に子供たちにいい影響を与えないのだろうか?
「何ボォっとしてんの?」
「あ、ごめん。」
 風呂上がりにソファーに座っている所を、同棲相手の和也が話しかけてきた。
「はい。」
 ビールを渡してくる。
「ありがとう。」
「なんか考え事?」
「今日、幼稚園でちょっとね。」
「何?揉め事?面白そう、聞かせて聞かせて。」
「面白がってるでしょ。」
「まぁね。」
 ニヤニヤと聞いてくる和也に少し腹が立ったが、聞いて欲しい所もあったので事の経緯を話した。
「・・・なるほどね。その理子先生って人は変な人なの?」
「いや、別に変じゃないよ。ちょっと固い所があるけど、園児の事をちゃんと考えてる人だと思う。」
「そっか。」
「和也はどう?賛成?」
「んん、ぶっちゃけどっちでもいいかな。」
「いい加減。」
「ごめん、ごめん。だってこんな事考えた事もなかったし。」
「私だってそうだよ。でも本当に教育的に良くないんだったら賛成するし、あった方がいいなら反対意見出さなきゃいけないし。」
「真面目。」
「だって仕事でしょ。理子先生だって真面目に言ってるんだから。」
「まぁ、そうだね・・・。」
「今の所私は無くしたくはないかな。リクエストがあれば読んであげたいし、たまに演劇でもやるし。」
「それ、いつまでに意見出さなきゃいけないの?」
「一応来月の会議までかな。」
「そっか。じゃあまとまるといいね。」
「うん。頑張る。」
 そう言って残ったビールを飲み干す。

 とりあえずシンデレラの内容をおさらいする為にネットで検索する。
「・・・。」
 けれど私が知っているシンデレラとあまり変わりはない。

 とても美しく心優しいシンデレラは継母とその娘二人にいつも虐げられていた。
 シンデレラはそれに耐えてせっせと働いていた。

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