小説

『だからボクは、今がいちばんしあわせ』サクラギコウ(『浦島太郎』)

 人生は悪くない。これほどに美しい空があるのだから。
 隣に亀がいた。私は「子供たちに虐められるなよ」と声を掛けた。亀は私の方をちらりと見てから海に向かってゆっくりと歩いて行った。
 歩きながら「任務完了」と言った。
 空はどこまでも青く、私を包み込んでいる。
 美しい春であれ。

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