小説

『あなたとみる世界』小山ラム子(『雪の女王』)

 つばきが笑顔を見せる。それは幼稚園のときに見た無邪気な生命力にあふれる笑顔であった。
「ひまりと見るともっときれいだと思う。多分それは私の世界だろうから」
いつの間にかひまりの頬を熱い涙が伝っていた。「おおげさだな」と言うつばきの頬にも光るものが流れていた。

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