カウントダウンが、迫っていた。私は、アリサの目を見つめた。 「なに?」 それから、両手で彼女の頬に触れる。これまでの人生、私は何一つとして願った事が無い。だから、一つくらい許してよ。そう思った。 「愛してるわ」 シャッターが切られた。その瞬間、私は彼女の唇を奪っていた。 波音が聞こえる。世界と、海と空の境界が描かれていく。止まっていた時間が、動いた気がした。 そうして、私は。 アリサと私の、これからと、これまでを、永遠の中に閉じ込めたのだ。 5/5 前のページ 2月期優秀作品一覧 HOME 1 2 3 4 5