一瞬聞き間違いにも思えたが、私の脳が都合のいい方を選んだことにより、少年が放った言葉を素直に飲み込む。少年は柵にもたれかかるのをやめて、元いた場所に戻って、また仰向けに寝転んだ。私も星を見つけるために、彼と同じように地面に寝転ぶ。
「その、見えない星が見える方法って」
「それは、まだ会って間もない少年君には教えられないなあ」
「じゃあ明日また来る?」
「その次の日も、君が星を見つけるまではずっと来てあげてもいいよ」
会話の奥に隠した少年との約束に、未来を重ねる。
いつからか、ビルの螺旋階段には埃がつもらなくなり、渋谷の空には満天の星空が広がるようになった。