小説

『婚活パーティー20の空欄』じゅんざぶろう

8.自分の長所と短所
「長所:なにごともコツコツとできる。短所:人見知り」
 なにごともコツコツできると書いたが、実は長所はなにも思いつかなかった。
 昔からあるこの質問、自分で自分のことを褒めるってやり過ぎると変なやつだと思われるし、加減が難しい。だから誰もが書きそうな長所をとりあえず書いた。
 短所はいっぱいあった。なにを書こうか迷ったが、一番好感を持たれそうな短所を書いたつもりだ。
 よく自分のことを人見知りって表現する人がいるが、人間は全員人見知りで、名乗ったやつが人見知りで、名乗ってないやつは人見知りじゃないと思っている。
 人見知りってとりあえず言っておいて、話が弾まなかったらそのせいにしよう感が、今の世の中蔓延している。

9.好きなタイプ
「笑顔が素敵な人」
 好きなタイプは?ってよくある質問だけど、正解はなに?一体なにが知りたいんだ。
 好きなタイプだけど、嫌いになるときもあるし、嫌いなタイプだけど好きになるときもある。
 芸能人の名前なんか書いたらきっと面倒くさいことになるだろうし、そもそもタイプの芸能人って誰だ?
 一緒にいて楽しい人、コレかもしれないが、俺がそんなことを言える立場ではない気もするし。

10.趣味
「映画鑑賞」
 おそらく好きな映画はなにかと聞かれると思うが、この空欄は映画鑑賞にしておいたほうが無難だろう。
 正直、最後に映画館に行ったのはいつなのかは思い出せない。
 好きな映画を聞かれたら、今話題の、漫画が原作の映画を答えておこう。
 そんなに面白くなかったと言えば、話が広がることもないだろうし。
 本当の趣味は、オークションサイトに出品されている商品が一体いくらで落札されるのかを見守ること。
 自分では出品も、落札もやったことはない。ネットで物を買うということにまだ抵抗があり、信頼をおいていない。
 よく分からない商品がとんでもない値段で落札されるところや、ネット上で値段の交渉をしていて、言い争いになったりしているのを見るのが面白い。
 こんなことを書けるわけがない、その辺の空気を読む能力は持ち合わせている。

1 2 3 4 5 6 7