男のだらりと下げられた腕。その腕の一部が欠損していたことを。
そして、その血があの肉切り包丁を伝っていたということを。
とたんに俺は悟った。いまわの際に悟った。
そう、男はすでに変異させてしまっていたのだ。
自分が飼っているものの一体を変異させてしまったのだ。
そして、俺の身体に黒い影が被さる瞬間…俺は詩の最後を思い出していた。
『スナーク狩り 8章の苦悶』著:ルイス・キャロル
…その最後は、確かこうしめくくられていた。
『そう、そのスナークはブージャムだった』…と。